タレントゲート
新規会員登録
タレントゲート会員登録
閉じる まずはLINEでタレントゲートの公式アカウントを友達に登録! LINEの友たち登録

まずはLINEでタレントゲートの公式アカウントを友だちに登録!

LINEで友達登録が完了したらマイページを発行しよう!
LINEで友達登録が完了するとマイページ発行のご案内が届きます。

マイページでは、個別相談(カウンセリング)や企業とコラボレートして実施するいろいろな講座などに予約したり、会員だけが読める特別な記事を読むことができます。

閉じる
マイページにログイン
次世代の薬剤師たち

これからの地域医療を見据え、いま薬剤師がすべきことに、しっかりと取り組む

徳永薬局株式会社 成瀬在宅センターに勤務、管理薬剤師の中西 裕道さん

在宅の現場に触れ、薬剤師の役割を見つめ直した

末期の肺がん患者が気持ちよさそうにタバコをぷかぷかとふかしているのをみて、担当の薬剤師は、特に注意することもなく、「タバコおいしい?」と声をかけた。

「その声のかけ方に、ちょっと驚いたんです。今までの自分の常識では、『タバコは止めましょうね』と指導するのが当たり前でしたから」

現在、徳永薬局で薬剤師として働く中西裕道氏 が採用面接に臨んだとき、後に上司となる薬剤師に連れられ、はじめて目にした“在宅の現場”での出来事だった。

「在宅医療がどういうものなのか、正直そのときはまだ全くわかっていませんでした。おそらくあと数週間しか生きられない肺がん患者に対して、薬剤師として『タバコは止めましょうね』ということは間違っているのか。はじめて在宅の現場に触れて、薬剤師としての自分の役割を改めて考えるようになったんです」

“薬剤師らしい”仕事を求めて、在宅に力を入れる薬局へ

中西氏は大学卒業後、大手ドラッグストアに入社。薬剤師として4年ほど、調剤業務やOTCの販売などを担当していた。

ドラッグストアの業務自体は想定していたもので、決して苦ではなかったという。しかし彼は次第に、もっと「薬剤師としての仕事」に集中したいと感じるようになった。

「患者さんともっと密なコミュニケーションを取ったり、お医者さんと薬についてのディスカッションをしたり。薬剤師としての時間を、より多く患者さんに使っていきたい。そう考えたときに、在宅に関わる薬剤師というキャリアが頭に浮かんだんです」

当時はまだ、在宅に注力している薬局自体がかなり限られていた。そんな中、徳永薬局に出会った。

その採用面接で在宅の現場に触れ、中西氏は転職を決意する。その後、在宅の分野ではかなりの実績を持つ上司の指導のもとで、在宅に携わるうえで大切なマインドを身につけていった。

「まずは1か月ほど、心構えについて学びました。在宅の場合、やはり一番大切なのは気持ちの部分なんですよね。技術や法律的なことなどは自分で勉強すれば身につきますが、それだけ知っていても現場対応はできませんから」

こうして、中西氏は薬剤師としての新たなキャリアをスタートすることになった。

増え続ける在宅患者数に対して薬剤師が不足している

徳永薬局株式会社は、2017年現在、東京・神奈川・埼玉・山梨・静岡を中心に、全国47店舗を展開している調剤薬局である。

地域の医師や患者の要請を受けて、早い段階から、個人の終末期患者などを中心とする在宅医療に取り組んできた。2010年には在宅部が設けられ、それ以降、在宅を行う薬局が5店舗(うち無菌調剤室のある在宅センターは3か所)次々にオープンしている。

「ちょうど私が入社した頃から、会社としても在宅により注力していく流れが強くなりました。在宅センターや第一号の無菌調剤室ができて、そこで在宅医療に必要なさまざまなことを学ばせてもらいました」

中西氏が在宅業務に関わりはじめてからというもの、患者数も年々増加している。最も多い鴨居在宅センターでは、現在個人在宅の患者数がおよそ300名にもおよぶ。

中西氏が現在所属している成瀬在宅センターでも、1人が1日に10件、多いときは20件近く患者宅を訪問することもあるそうだ。

しかし、すでにこれだけの患者を抱え、施設に対する投資などの取り組みが進んでいる同薬局内でも、まだまだ在宅業務にハードルを感じている薬剤師が多いのが現状だという。

「やはりどうしても、在宅は仕事自体が大変なイメージが強いんです。それでなかなか踏み込めない、という薬剤師が多いと思います」

24時間体制で休めないのではないか。患者とのコミュニケーションが難しいのではないか。そうした心理的なハードルは、まだまだ根強い。

医療人としての想いが現場に触れて揺り動かされる

しかし中には、強く希望して在宅部に配属されてくる若手薬剤師もいる。現在、中西氏が研修を担当している女性薬剤師もそのひとりだ。

「彼女はもともと、大学病院で病院薬剤師をしていました。しかし仕事を続けるうちに、患者さんたちが退院していく“その先”にも携わりたいと思ったのだそうです」

一人の患者が病院に入院している期間はわずかだ。その一部のフェーズだけではなく、もっと長いスパンでその生活を支えていきたい。そんな強い想いを持ったスタッフも、少しずつだが集りはじめている。

中西氏が若手薬剤師に対して在宅の指導を行うとき、心がけているのは「もともとの資質を掘り起こす」ことだという。

自分自身がそうであったように、実際の現場に触れて、心を動かされる体験がなによりも大事だと考えているからだ。

「在宅の場合、本当に患者さんやその家族の人生に参加させてもらうような形になるので、それを体験することが一番なんです。薬剤師はもともと医療人としての教育を受けてきていますから、現場に触れて刺激を受ける人が多いと思います」

薬剤師としてのスキルを最大限活かせる場はまだまだある

在宅の患者数は、現在進行形で急激に増えている。これまでは入院を継続していた患者が、自宅治療に切り替わるケースなどが多くなりつつあるからだ。

ただ現時点では、それらをフォローする薬局、薬剤師側に大きな課題があるのが現状だ。

「在宅の場合、個々の薬剤師の知識やスキルの差が如実に出てきてしまいます。そのレベル差は今も大きいですし、今後もさらに広がっていくでしょう。同じ薬局の中ですら、同じレベルを維持するのは非常に難しいことなんです」

そうした課題をクリアするためには、薬局単体ではなく、地域を巻き込んだ活動が必要となる。

実際に、成瀬在宅センターがある町田市・隣県の相模原市では、大学病院の医師が主導して「インフラ整備コンソーシアム」を整備。病院や地域包括支援センター、老人ホームなど十数か所の拠点をつなぎ、TV会議や勉強会を定期的に実施しているそうだ。

「私たちも、地域医療を立ち上げるために薬剤師として協力しています」

薬剤師が在宅業務に携わっていくこと、そして地域医療を確立していくこと。その道はまだまだ険しい。しかし中西氏は、薬剤師として在宅に関わることに強い意義を感じているという。

薬局や病院で、従来通りの薬剤師業務だけに触れると、どうしても「薬剤師の仕事はここまで」と知らずしらずのうちに線引きをしてしまう。でもその先には、薬剤師として力を発揮できる可能性が無限に広がっているのだ。

「楽しい、といったら語弊があるかもしれませんが、自分自身のスキルを患者さんのために最大限活かせていると実感できるんです。私たちが役に立てることは、まだまだあることを知ってほしいですね」

Profile

中西 裕道(Hiromichi Nakanishi)

徳永薬局株式会社 成瀬在宅センターに勤務。管理薬剤師。研究職を目指して薬学部へ入学したのち、大手ドラッグストアでの4年間の勤務経験を経て、より患者に近い場所で仕事に携われる薬剤師を目指し徳永薬局に転職。現在は在宅業務を中心に活躍中。

カテゴリの記事一覧

自分の街に、本当に貢献できる薬剤師を目指して

患者さん一人ひとりとのつながりを大切に、必要とされる理想の薬剤師を目指す

薬剤師として、いま医療の現場に足りない仕組みを積極的に構築していきたい

これからの地域医療を見据え、いま薬剤師がすべきことに、しっかりと取り組む

「薬剤師である前に一人の“支援者”として、患者さんと向き合っていく」

「終末期医療の本来のあり方は闘いではない。よりよく生きるためのサポートだ」

入社3年目で、在宅業務を一手に引き受ける女性薬剤師の奮闘

「在宅は簡単ではない。だからこそ、柔軟な若手薬剤師の力が必要」