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次世代の薬剤師たち

薬剤師として、いま医療の現場に足りない仕組みを積極的に構築していきたい

WISE株式会社 薬剤師、山口 峻平氏(代表取締役)と山内 伴紀氏(取締役)

若手薬剤師2人が選んだ起業への道

薬剤師として在宅に携わるには、現状、在宅に力を入れて取り組んでいる薬局で働くのが一番の近道だ。しかし、それとは違うやり方で、新しい一歩を踏み出した2人の薬剤師がいる。

WISE株式会社の、山口峻平氏と山内伴紀氏。大学時代の同期であった両氏は、2016年3月に会社を設立し、つなぐ薬局を同年6月に開局した。起業という手段によって、在宅医療により力を注いでいく道を選んだのである。

「もともと私は病院に、山内は薬局に勤めていました。お互い薬剤師として3年ほどキャリアを積んだとき、これからの薬剤師のあり方について話す機会があって。それから少しずつ、事業のイメージを固めてきたんです」

そう話してくれたのは、同社の代表取締役を務める山口氏だ。

同社は現在、保険調剤薬局の「つなぐ薬局」を運営している他、在宅医療の現場で、薬剤師が力を発揮するための仕組みづくりに取り組みはじめた。そのひとつが、「サポート薬局」制度の活用促進および他薬局へのコンサルティング事業だ。

「私たちは、薬剤師がもっているはずの力を最大限に活かせるのが、在宅医療というフィールドだと思っているんです。そこでまず、“在宅医療強化型”の薬局を作りました」

地域の中で、薬剤師は患者のためになにができるか?

そもそも、なぜ2人は在宅医療に携わりたいと思うようになったのか。山口氏は、「在宅だろうと病院だろうと、薬剤師として患者さんと接する仕事が一番大事だと思っていることは変わらない。病院に勤務していた時、退院後、すぐに再入院してしまう患者さんがいた。残薬等を確認すると、自宅で薬の管理は何もできていなかった。退院後も継続してサポートできれば、再入院することを防げたんじゃないかと思った」という。

一方で、調剤薬局での勤務経験を持つ山内氏は、別の課題も感じていた。

「調剤薬局で働いていたときは、処方された薬を渡した後のケアまではできていなかったんです。在宅医療は一人ひとりの患者さんと深く付き合っていきますから、点と点が少しずつつながっていくんですよね。そこにおもしろさや、やりがいを感じるようになった」

国としての方針も、在宅医療に注力する流れになりはじめていた。薬剤師として、患者さんが自宅で過ごすためのサポートをしていきたい。2人の中で、そうした想いが強くなっていったという。さらにその気持ちは、単に在宅の現場で働くことだけでは収まりきらない。薬剤師としてやるべきことはまだまだあると感じていた。

「求められることは山ほどあるのに、薬剤師自身がやりきれていない。この現状をなんとかしたいと思ったんです。それならば個人で薬局をやるのではなく、法人として組織化することで、活動をどんどん広げていこう、と」

薬剤師として在宅の仕事自体に魅力を感じていることは事実だが、2人は決して、在宅業務だけを手がけたいと思ったわけではないそうだ。

「地域の中で、薬剤師として患者さんのために何ができるか。それを常に考えていますね。ある意味、これも“街づくり”の一つなんじゃないかと思っているんです。その中で、在宅医療の整備が追いついていないと感じることが多々ありました。だからまずは、それを強化していこうと思ったんです」

薬局同士が協業して支えあう、「サポート薬局」という制度

同社は、事業の第一弾として千葉県柏市に「つなぐ薬局」を開設。地域の在宅医療に関わるかたわら、新たな事業をスタートさせようとしている。それが「SASAEAI:サポート薬局プロジェクト」だと、山内氏は話す。

「サポート薬局とは、地域で在宅医療を進めていくにあたり、薬局同士が連携し、お互いに支え合っていくための制度です。それぞれの薬局が個別で患者さんを診ていくのはハードルが高いですからね」

例えばこれまでは内服薬によって疼痛をコントロールしていた在宅患者に対する治療が、モルヒネの皮下注射に変わったとき。一般的な薬局では、現状、そうした変化に対応することが難しいのだ。

「それなら、薬局同士が協業していくのも一つの方法だと考えました。患者さんの状態によって薬局を振り分けるのではなく、緊急対応や、麻薬などの特殊な薬の対応が必要なときだけ、専門の薬局に簡単にヘルプを頼める。そうした仕組みを作りたいと思っています」

薬局同士の積極的な連携は、これまでにはほとんど事例もなかった。しかし2人は、この仕組みに対する理解さえ進んでいけば、広まりはじめるのは早いと感じているそうだ。

同社では今、地域の薬剤師会が主催する在宅医療の基礎講座と連携し、こうした仕組みに対する啓蒙活動を行っている。

「まだ在宅に取り組んでいない薬局や薬剤師が、少しずつ在宅業務ができるようになるための最初の一歩だと考えています」と、山内氏。

在宅のハードルを乗り越えるために、どこの薬局でも、サポート薬局の制度を十分に活用できる環境を作っていきたいそうだ。

病院と薬局が連携できる仕組みをつくり、よりよい医療を提供する

起業からおよそ半年。さまざまな活動に取り組んでいる2人に、今後の目標について聞いた。

山口氏は、薬局の機能をより有効に活用するため、サポート薬局制度の活用の他にも、薬薬連携を充実させていきたいという。

「いくつか連携をとっている病院の中でも、特に国立がん研究センター東病院と、東京慈恵会医科大学付属柏病院の薬剤部の方々とは、患者さんについて頻繁に連絡を取り合っています。在宅医療は、やはり連携が重要なポイントですから。もう、薬剤師個人が患者さんを担当すれば済むことではないんです」

つなぐ薬局では、入院していた患者が退院後、在宅医療で介入する時には、その患者に対して病棟担当薬剤師がどのような指導をしてきたのか、病院薬剤部に問い合わせている。また、在宅医療から病院に入院した際は、病院薬剤部に積極的に指導内容を提供している。患者さんの情報を共有することで、安全な医療の提供と患者満足度の向上につながるからだ。

山口氏は、自身の経験からもその必要性を実感している。

「病院薬剤師としても、入院中に診ていた患者さんには自宅でも快適に過ごしてほしいと強く願っているんです。病院薬剤師の薬学的知見に基づく問題点を、地域の薬局が責任をもって継続し、患者さんをサポートできる仕組みがあると、とても安心できるんですよね」

これまでは病院側も薬局側も、どこにどう話を持ちかければいいのか、お互いに連携する仕組みが整っていないことが多かった。同社は、まずはその問題を解消しようと考えた。

「薬局と病院では、できることがそもそも違いますからね。だからこそ、薬局だったらこういう対応ができます、ということをもっと伝えていく必要がある。そうしたコーディネートをどんどん進めていきたいと思っています」と語る、山内氏。

薬剤師の本来の力を活かすため、起業して地域医療の新たな仕組みづくりに奔走する両氏の原動力になっているのは、ほかでもない患者の存在である。

薬剤師としてできることを考え、それを実践すればするほど、相手からレスポンスが返ってくる。「来てくれてよかったよ」――患者からそんな言葉をかけられる体験をすると、心から「この仕事は楽しい!」と思えるそうだ。

在宅の現場には、まだまだ薬剤師にできることがある。薬剤師たちの可能性を広げ、患者やその家族がより良い医療サービスを受けられるように、WISE株式会社にかかる期待は大きい。

Profile

WISE株式会社

大学の同期生であった薬剤師、山口 峻平氏(代表取締役)と山内 伴紀氏(取締役)が2016年3月に設立。在宅医療を支えるための「SASAEAI:サポート薬局プロジェクト」などに取り組んでいる。

カテゴリの記事一覧

自分の街に、本当に貢献できる薬剤師を目指して

患者さん一人ひとりとのつながりを大切に、必要とされる理想の薬剤師を目指す

薬剤師として、いま医療の現場に足りない仕組みを積極的に構築していきたい

これからの地域医療を見据え、いま薬剤師がすべきことに、しっかりと取り組む

「薬剤師である前に一人の“支援者”として、患者さんと向き合っていく」

「終末期医療の本来のあり方は闘いではない。よりよく生きるためのサポートだ」

入社3年目で、在宅業務を一手に引き受ける女性薬剤師の奮闘

「在宅は簡単ではない。だからこそ、柔軟な若手薬剤師の力が必要」