タレントゲート
新規会員登録
タレントゲート会員登録
閉じる まずはLINEでタレントゲートの公式アカウントを友達に登録! LINEの友たち登録

まずはLINEでタレントゲートの公式アカウントを友だちに登録!

LINEで友達登録が完了したらマイページを発行しよう!
LINEで友達登録が完了するとマイページ発行のご案内が届きます。

マイページでは、個別相談(カウンセリング)や企業とコラボレートして実施するいろいろな講座などに予約したり、会員だけが読める特別な記事を読むことができます。

閉じる
マイページにログイン
次世代の薬剤師たち

「在宅は簡単ではない。だからこそ、柔軟な若手薬剤師の力が必要」

雄飛堂薬局 在宅事業部所属 新井 翔さん

在宅専門の薬剤師として10年。きっかけは「生き残るため」

「実は私、学生のときあまり優秀ではなかったんですよね(笑)。だから国家試験にほぼ満点で合格するような同級生と同じようなことをしていても、この先、薬剤師としてはとても生き残っていけないと感じていて」

そう話すのは、雄飛堂薬局在宅センター十条店で薬局長を務めている新井翔氏。同センターは、東京都北区の上十条にある、主に在宅を応需する薬局だ。地域に住む人たちのニーズに応えるために、新井氏をはじめ、在宅経験のある薬剤師が中心となって立ち上げた店舗である。

新井氏は、まだ30代前半の若手薬剤師。同薬局の在宅事業部に所属している8名の薬剤師の中でも最年少だが、実は、在宅のキャリアは一番長いという。

彼が“在宅専門の薬剤師”としてキャリアをスタートさせたのは、今から10年も前のこと。当然、まだ「かかりつけ薬局」という言葉は生まれておらず、地域医療や在宅医療も、今ほど注目されているキーワードではなかった。

薬学部を卒業した後、新井氏は周囲にいる優秀な薬剤師の友人と自分を比較して、「自分は何をしたら生き残れるか」と必死に考えた。その結果行き着いたのが、「在宅医療」だったそうだ。

「そもそも自分の性格的に、デスクワークや内勤が向いていないことがよくわかっていたんです。その点、在宅は外回りの仕事なのでいいかなと思いました」

きっとこれからは、在宅医療がますます求められるようになるだろう――そう考えた新井氏は、まずは当時、在宅医療のパイオニア的な存在だった薬局に狙いを定めて入社。以来10年の間、在宅専門の薬剤師として、いくつかの薬局をわたり歩いてきた。

そしてあるとき、大きなチャンスが訪れる。「新たに在宅事業部門を立ち上げるから協力してほしい」と、雄飛堂薬局の大塚社長から声をかけられたのだ。

薬剤師側から病院の医師へ「在宅への切り替え」を提案

雄飛堂薬局はそもそも、いわゆる健康サポート薬局のような機能を持つ薬局を目指して、新しい取り組みを行なってきた。薬以外の健康食品やサプリメントなどを取り扱うことも多く、薬剤師の他に、管理栄養士も6名ほど在籍している。そのため薬以外の手段で、健康になる方法をアドバイスすることも可能だ。

従来のように、調剤をメインに処方箋をどんどんさばいていくような薬局でも、ドラッグストアでもない。トータルで地域の方の健康をサポートできるような薬局――それが、雄飛堂薬局が目指している在り方である。同薬局が数年前から在宅に取り組みはじめたのは、それを実現するための一つの手段だった。

「現在は、かなり在宅に重きを置いていますね」と、新井氏はいう。彼が入る以前は薬局事業の部署しかなかったが、今では「在宅事業部」が生まれ、専門特化した業務を行なっている。さらに在宅センター十条店をオープンしたことにより、同薬局内でも取り組みが本格化したのだ。

しかし在宅の場合、新規参入して新たな患者を増やしていくには、数々のハードルがあるのが現状だ。雄飛堂薬局は、どのように自分たちの業務範囲を広げていったのだろうか。

「当店の場合、私たち薬剤師側から在宅医療への切り替えを提案することが多いです。例えば外来に通院している患者さんで、『もう通うのが大変そうだな』と感じる方がいたら、担当している処方医の先生に在宅への切り替えを提案するとか」

さらに「うちの薬局は在宅に対応できます」という営業活動も、積極的に行なったという。

「まずは、医師の先生方や介護のケアマネージャーさんに『あの薬局は在宅ができる』と認識してもらわなければなりません。そのためには、かなりの努力が必要なんです」

最近では、医療機関や介護施設などに営業を行なう専任チームもでき、日々営業活動に励んでいるそうだ。

こうして着実に一歩ずつ、雄飛堂薬局の在宅への取り組みが進んでいった。

まずは在宅分野で実績のある薬局で実体験を積んでみる

2016年現在、在宅医療が大きな注目と期待を集めているが、既存の薬局が在宅分野に参入するのはなかなか難しいのが現状だ。医師側としては、在宅の実績がない薬局に、いきなり大切な患者を任せられないというのが本音だろう。受入れる薬局側も、医師が満足するレベルの体制を維持していくのが経営的に難しいのである。

若手の薬剤師や現役の薬学生の中には、「在宅に関わっていきたい!」という希望を持つ人も多い。しかしまだまだ、その想いを叶えられるような薬局は少ないようだ。その背景にある課題について、新井氏はこう話す。

「ずっと病院やクリニックの近くで運営してきた薬局は、その体制のまま在宅に注力しようとしても人員の確保が難しいんです。だからといって、1人の薬剤師が兼務をすることは非常に大変です。多くの薬局が二の足を踏んでいるのは、マンパワー不足の問題が大きいのではないでしょうか」

ただ、この世界で10年以上の実務経験を積んできた新井氏は、在宅を志望する若手に対して一つの懸念を抱いているという。

「確かに在宅医療は今流行のキーワードですから、やりたいという若手はとても多いんです。でも実際やってみると、実はそんなに簡単ではないことがすぐにわかるんですよね」

現実問題として、「在宅」というキーワードに安易に飛びついてしまった薬剤師が現場の厳しさに直面し、「こんなはずではなかった」と、すぐに離れていってしまうケースもあるそうだ。イメージだけで捉える「在宅」の仕事と、実際の現場には大きなギャップがある。

「だからこそ、インターンでも何でもいいから今のうちに現場を経験してみてほしい」と新井氏はいう。話だけを聞いてイメージを膨らませるのと、実際に自分の目で見るのとでは雲泥の差だからだ。

「今はほとんどの薬局で“在宅やっています”という看板を掲げています。でもフタを開けてみると、実績が数件しかなかったり、体制だけあって取り組むのはこれからだったり、そういう薬局が多いんです。だから必ず実績を確認して、在宅の件数を多く取り扱っている薬局を選ぶことをおすすめしますね」

若手ならではの柔軟性を活かし、在宅の現場で活躍してほしい

これまで10年間、在宅専門の薬剤師として働いてきた新井氏に、改めて仕事の難しさを聞いてみた。

「在宅で大変なのは、専門科目があるわけではないので、覚えなければならない知識がとにかく膨大なこと。例えば、耳鼻科の門前薬局だったら耳鼻科で使用する薬の知識を深堀りすればそれなりに対応できるようになります。でも在宅は、すべての領域に関わる知見がなければやっていけないんです」

そのために現場の薬剤師は、日々さまざまな勉強をし続けているという。薬剤師会が開催している勉強会に積極的に出席したり、「日本在宅薬学会」に所属して、在宅専門のスキルや成功・失敗事例を学んだり――受け身のままでいたら、とても仕事が成り立たないそうだ。

これまで薬剤師は、資格をもっていて、調剤さえできればどの薬局でもそれなりに通用してきた。現在もどこの薬局も人手不足であり、よほどのことがなければ転職もそれなりにスムーズにできてしまう。目の前だけを見れば、そうした状況であることは間違いない。しかし数年先には、薬局が求める人材の「質」が大きく変わっている可能性があるのだ。

ではこれから、在宅専門の薬剤師を目指す場合はどうしたらよいのか。やはり最初は、調剤部門である程度経験を積んだほうがよいのだろうか。

「雄飛堂薬局の方針としては、まずは1年の間、外来調剤をしっかりやってほしいということになっています。ただ、私自身は新卒で在宅の世界に飛び込んだので、一概にはいえないですね」と、新井氏。

また今後の薬局の傾向として、調剤業務などはある程度経験のある薬剤師に任せ、在宅に対応できる若手薬剤師を育てる、というような役割分担が生まれていく可能性もあるという。

「これからの時代、在宅専門の薬剤師が必要とされるのは間違いありません。だから私たちも後進をしっかり育てていかなければならないと感じています」

Profile

新井 翔(Sho Arai)

雄飛堂薬局 在宅事業部所属。大学卒業後、在宅医療を専門とする薬剤師を目指し、複数の店舗でキャリアを積む。雄飛堂薬局初となる在宅センターの立ち上げに携わり、現在は同センターの薬局長を務める。

▼株式会社雄飛堂 リクルート2018
https://www.yuhido.com/recruit

カテゴリの記事一覧

自分の街に、本当に貢献できる薬剤師を目指して

自分の街に、本当に貢献できる薬剤師を目指して

患者さん一人ひとりとのつながりを大切に、必要とされる理想の薬剤師を目指す

薬剤師として、いま医療の現場に足りない仕組みを積極的に構築していきたい

これからの地域医療を見据え、いま薬剤師がすべきことに、しっかりと取り組む

「薬剤師である前に一人の“支援者”として、患者さんと向き合っていく」

「終末期医療の本来のあり方は闘いではない。よりよく生きるためのサポートだ」

入社3年目で、在宅業務を一手に引き受ける女性薬剤師の奮闘

「在宅は簡単ではない。だからこそ、柔軟な若手薬剤師の力が必要」