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子どもたちの学ぶ環境を安全に維持する、「学校薬剤師」の役割とは? 

「学校薬剤師」の役割とはどんなものなのか? 現在、薬局を経営しながら、地元の小学校で学校薬剤師を務めている大塚昌孝さん(有限会社つくし薬局)に、具体的な仕事の内容についてお話をうかがってきました。

薬局薬剤師をしながら地域の「学校薬剤師」を担当

大塚さんは実家の薬局を継いで、現在は在宅医療などにも取り組んでいるとうかがいました。

はい、在宅は今年から 本格的にはじめました。現在は拠点が2か所あり、本店は調剤とOTC、化粧品などを中心にやっています。在宅サービスを行なっているのはもう一つの拠点で、4人の薬剤師が担当しています。私自身も、日々個人宅にうかがっていますね。平均すると1日に2〜3件くらいでしょうか。

そうした薬局の通常業務を行いながら、学校薬剤師の仕事もしているのですか?

そうですね。

今、学校薬剤師が不足しているというのは事実なのでしょうか。

足りていないと思いますね。本当は1校につき1人いるのが望ましいはず。でも実際は掛け持ちの人が多いです。私自身も3校、担当しています。

担当はどのように決まるのですか?

それは、その地域の支部によって違います。このエリアの支部では、一度担当すると変更になることはあまりないですね。支部によってはローテーションするところもあると聞いています。

ただし平日の昼間、自分の仕事の合間をぬって学校に行かなければならないので、それなりに近い場所じゃないと難しいんです。

環境衛生検査をもとに改善方法をアドバイスする

学校薬剤師としてどんな仕事をしているか、教えてください。

メインの業務は、いろいろな種類の「環境衛生検査」です。例えば換気や教室の明るさ、飲料水、それからプール検査。特にプールは塩素濃度が下がるとさまざまな菌が繁殖しやすく、大腸菌が発生したり、結膜炎が流行したりと大変なんです。そうした事態が起こらないよう、監視・指導しています。

ただし、検査をやるだけなら検査会社に任せてしまえばいい。学校薬剤師の大切な役割は、検査結果をもとに「どう改善すればいいか」をアドバイスすることなんです。

通常の薬剤師業務とは違うイメージです。

違いますね。薬剤師になるための勉強の中には、そうした項目まで入っていませんから。

現在のように、学校薬剤師が必要とされるようになったきっかけはあったのでしょうか?

昭和初期の頃、ある学校で、保健室にあった消毒薬を誤って児童に飲ませてしまった事故があったそうです。不幸にも、そのお子さんは亡くなってしまいました。それを機に、学校にも薬剤を管理するプロを配置しようという動きが出てきたと聞いています。

プールの衛生管理から教室の明るさや薬物講習まで

環境衛生といっても、例えば「教室の明るさ」の管理と薬剤師の仕事があまり結びつかないのですが……?

確かにそうかもしれません。私たちも、学校薬剤師として仕事をしながらいろいろと勉強をしています。

「教室の明るさ」について、具体的にどんな検査や管理をしているのか教えてください。

例えば、教室の中で窓側の席は1万ルクスを超えるときもありますが、廊下側は300ルクス程度。そうするとその差は30倍。子どもたちが「まぶしさ」を感じる原因になります。

明るすぎるところで、白い紙やノートを使って勉強していると、光が反射して目にもよくありません。そういう場合はカーテンをつけた状態で明るさを測り、問題がないかどうか検討しています。

他にはどんなところをチェックしているのですか?

冬場は、換気の検査もあります。この地域の学校ではまだストーブを使っているところが多く、閉め切ったまま授業をしていると二酸化炭素が増えたり、不完全燃焼を起こして一酸化炭素が出たりすることもあるので。

子どもたちに対する講習などを担当することもありますか?

私が一番大切だと思っているのは、「薬物乱用防止教室」です。タバコの害や、薬物、いわゆる危険ドラッグなどについての講習ですね。小学校3年生からはじまります。

そうした講習の企画などは、どのように決まるのでしょうか。

今は市の薬剤師会の中の一部門として、学校薬剤師部会があります。そこで協議されたことをもとに、私たちが学校薬剤師として活動しています。地域によって取り組み方はいろいろ違うでしょうね。

生計を立てるのは困難でも地域のために貢献したい

学校薬剤師の場合、報酬体系などはどうなっているのですか?

報酬は一律、大体年間で15万円程度と国で決められています。

仕事の頻度はどの程度ですか?

私が担当している学校の場合は、年間で8〜10回程度です。ただ、薬物乱用防止教室などの講習はほとんどボランティアですね。

では、学校薬剤師の仕事だけで生計を立てるのは難しいのですね。

何校も掛け持ちすれば暮らせるかもしれませんが、実際は難しいでしょうね。

報酬が少ないにも関わらず、大塚先生が学校薬剤師を続けているのはなぜですか?

現在、私は地元の小学校で、「薬物乱用防止教室」やタバコ・アルコールの危険性をわかりやすく伝える「ノースモッ子教室」などを開いています。

子どもたちは一生懸命私たちの話を聞いてくれて、後日「こういう風に思いました」と感想文を送ってくれるんです。私が話したことが、少しでも子どもたちの心に残り、将来役立ってくれればいい。そう考えて、学校薬剤師の仕事を続けています。

薬剤師として、学校の環境と子どもたちのこれからの生活を支えているのですね。

校医などに比べれば児童の記憶に残るようなことは少ないかもしれません。でも将来を担う子どもたちのために、薬剤師として何ができるか。それに尽きます。

適切な環境を整えたり、薬物の怖さを教えたりするには、やはり薬のプロである薬剤師が必要ですから。

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