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地域医療を支える医師にインタビュー

タレントゲートの大学生インターンが、在宅医療に積極的に取り組んでいる地域の病院・クリニックを訪問。薬学生がなかなか直接知ることができない医師の想いや、これからの薬剤師に期待することをうかがってきました。

在宅医療で何よりも大切なのは、患者さんに対する「観察力」とアンテナの高さ

セツルメント診療所/東京都足立区
下山 省二先生
http://www.hikobae.or.jp/honin/index.html

1950年代から継続する地域に根ざした社会事業

― こちらの診療所は、かなり古くからあるそうですね。

1951年からですので、もう60年以上になりますね。もともとはこの地域における「セツルメント活動※」からはじまっています。当時は時代が時代でしたので、まだまだ社会が衛生的にも知識的に成熟していませんでした。そこで、大学の学識者などの社会人・学生が地域活動に携わってきたのです。その中の一つとして、医療部門が現在まで残っているということです。

※セツルメント……地域に根ざして医療・教育・保育・授産などの活動を行い、地域の福祉をはかる社会事業のこと。また、その施設や団体を指す。

― このセツルメント診療所では、こちらの本院の他にも、分院や訪問看護ステーション、居宅介護事業所などがありますが、外来から在宅まで、総合的にフォローされているのでしょうか。

そうですね。外来通院から在宅療養まで医療・看護・介護が切れ目なくできる体制となっています。本院では外来と訪問診療合わせて、常勤医・非常勤医で20人ほどの医師がいるほか、看護師も常勤・非常勤合わせて15人くらい在籍しています。

― 下山先生ご自身は、いつからこちらに勤めているのですか?

実は大学を卒業してからずっと、大学病院で臨床や研究を続けながら、ここで週1回の診療を続けていたんです。完全に常勤になったのは、今から10年ほど前ですね。

― 今現在、先生が担当している在宅の患者さんはどれくらいいらっしゃるのですか?

現時点では、120人前後くらいでしょうか。他院と比較したことはないですが、厚生労働省の統計資料などを踏まえると、それなりに多い方ではないかと思います。

細かな薬の使い方の指導は薬剤師にしかできないこともある

― 薬剤師のあり方がいろいろと変化している今、下山先生の立場から見て、「薬剤師がこうしてくれると助かる」と思うポイントはありますか?

私たち医師は薬について、専門的な部分まではよく知らないこともあります。例えばある錠剤をうまく飲めない患者さんがいるとしますよね。その場合、薬を粉砕して対処しますが、中にはそのまま錠剤を粉砕できないケースもあります。しかし、すでに散剤が販売されていることもあれば、粉砕可能な別の銘柄で代替できる場合もある……。そうした細かいことは、やはり薬剤師さんに教えてほしいと思いますね。

特に在宅の場合は、薬局のカウンター越しに行なっている業務とは違うスキルが必要になると思います。

在宅診療を希望する方は、自分で通院できる患者さんとは違い、体力的にも思考的にも不自由さを抱えている方がほとんどです。そのため、服薬指導の難易度も高いでしょうね。

― それは例えば、どんなことでしょうか。

医師として気になることを挙げると、例えば気管支ぜんそくの薬で、吸入薬があるのをご存知でしょうか。しかし一口に「吸入薬」といっても、種類がたくさんあります。さらに、薬によって吸い方や扱い方が少しずつ違うんですよね。

その吸入薬をわたし、ただ「これを吸ってください」と伝えるだけでは不十分。「指導箋」をわたしたとしても、なかなか読んでもらえません。在宅の場合、そんな指導でうまく吸入できる患者さんなんていないんです。

― 確かに、そうですね…!

薬を処方した医師の立場からすれば、患者さんはきちんとそれを使っているはずだと思っています。ただ、例え本人が「吸っています」といっても、カウンターや目盛りが減っていないことも多々あるんです。

そういった細かいところを、訪問した薬剤師さんが見てくれると、治療もスムーズに進むと思いますね。

― そのようなケアが、実際の現場では薬剤師ではなく、看護師さんにフォローされていることもあると聞きます。

場合によっては、看護師さんがフォローしていることもありますね。しかし薬剤師さんこそ、そういう点を意識してほしいと思います。

薬剤師としての職能をより活かして在宅医療にコミットしていくことを考えれば、アンテナは多ければ多いほどいいですから。医師と薬剤師との連携がきちんとできていて、最新の情報をもとに患者さんの状況を正しく把握できることが一番大切です。

経験値より観察力、在宅医療に教科書はない

― 一般的には、薬学部を卒業したばかりの薬剤師が、すぐに在宅医療に関わるというのは難しいといわれています。その点についてはどうお考えですか?

新卒なら一定の知識はあると思いますが、やはり知識だけでは難しい部分もあるでしょう。在宅医療の場合、学術的な知識やノウハウよりも、さまざまな経験値が必要となってきます。

訪問した先の患者さんが、どんな生活をしているのか。家庭環境はどうか。世話をしてくれる人はいるのか。家の中で自由に動き回れる環境か……。そうした細かいことにいかに気づいて、配慮ができるか。この感覚を身につけるのに、教科書なんてありません。自分自身が模索して、編み出していくしかないんです。

― 経験年数の長さよりも、そうしたことに気づき、薬剤師の方から医師の先生や、介護関係の方などと連携できることが重要なんですね。

そうですね。例えば「飲み残しの薬があります」という報告ひとつにしても、それがたまたま忘れてしまっただけなのか、それとも形状的に飲むのが無理なのかで、全然状況が違いますよね。まずはそこに「気づく」こと。薬剤師さんも第六感を働かせて、そうしたことを一つひとつキャッチしてくれると助かります。

訪問診療の「担当者会議」薬剤師も積極的な参加を

― しかし現状、在宅医療の関係者の中で、薬剤師が積極的に発言していく……ということは少ないと聞きます。

それは、今の状況に薬剤師さんがまだ慣れていないだけだと思います。介護関係者と医師の間では、訪問診療のための担当者会議が設けられ、そこで診療についてやり取りするしくみがあります。

今後は、薬剤師さんとの間にもそうしたシステムが必要なのかもしれないですね。どちらにしても、在宅医療は単独の職種だけでは成立しませんから。

― そうしたしくみづくりは、今地域でも進んでいるのでしょうか?

現状は、病院単位の取り組みや、医師、看護師など職種レベルの交流の中で、「一緒にこうしていきましょう」という連携がメインです。

私たちのような各地域の前線にいる診療所と、高次医療病院、後方病院、それらがお互いに密接に関わり合っていくと同時に、それぞれの施設が、それぞれの役割をしっかり果たしていくことが重要だと考えています。

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