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地域医療を支える医師にインタビュー

タレントゲートの大学生インターンが、在宅医療に積極的に取り組んでいる地域の病院・クリニックを訪問。薬学生がなかなか直接知ることができない医師の想いや、これからの薬剤師に期待することをうかがってきました。

医療と介護、行政すべての垣根を取り払って、在宅医療を“地域の団体戦”に

医療法人社団 鉄祐会 祐ホームクリニック吾妻橋/東京都墨田区
院長 井上貴裕先生
http://www.you-homeclinic.or.jp/

ターミナルケアの必要性を感じ、大学病院を飛び出す

― 井上先生は名古屋のご出身だそうですね。もともとは何をご専門にされていたのですか?

血液内科が専門で、ずっと白血病の治療に取り組んできました。所属していたのは名古屋にある大学病院。日本ではじめて、骨移植を白血病治療に取り入れたチームの一員だったんです。

白血病の場合、治癒する患者さんもいれば、病院で亡くなる方もいます。そこで、病院での末期患者さんに対する治療やケアについて考えるようになりました。

― 病院で治療を続けるか、それとも自宅で最期を迎えるか、という選択のことでしょうか。

そうです。当時はまだターミナルケアの概念が浸透しておらず、医者が患者さんを自宅に帰すということは、“医療の敗北”だと考えるのが一般的だった時代でした。最期まで治療をするのが医療人としての責任である、と。

でもあるとき私は、腹をくくってとある末期の患者さんを自宅に帰したことがあったんです。最期の時間を、在宅ですごしてもらうために。そうしたら患者さんにもご家族にも、とても喜ばれて。そこで「やっぱりこれは意味があることなんだ」と確信しました。

それでもなかなか、ターミナルケアの必要性は周囲に受け入れてもらえませんでした。そこで大学病院を飛び出して、東京に出てきたんです。

情熱をもった関係者と、地域の在宅医療に取り組む

― 実際に東京で地域医療に取り組まれるようになったのには、どんなきっかけがあったのですか?

実は、以前から興味をもっていたことの一つが地域医療でした。でも昔は、“地域医療”といえば田舎の過疎化した山村や漁村のイメージだったんです。若い頃は、実際にそういった地域にアルバイトで出かけたりもしていました。

でもいざ東京にきてみると、「果たしてここでは地域医療が機能しているのか?」という疑問が湧いてきました。都市部は交通の利便性が高いので、どんな患者さんも中堅以上の病院に集中してしまうなど、さまざまな課題があるんです。

だからこそ、地域のかかりつけ医と大病院のすみ分けが必要だと感じましたし、在宅でもっとできることがあるのではないかと思うようになりました。都市部には、都市型の地域医療が必要なのだと。

― そのなかでも、墨田区で地域包括ケアに取り組もうと思われたのはなぜですか?

私が墨田区で働くようになったのはたまたまでしたが、そのなかで病院の関係者をはじめ、行政、医師会、民生委員や薬剤師なども含め、情熱をもった方々が非常に多いと感じたんです。

だからこの人たちと、この地域で医療に取り組みたいと思いました。墨田区内でもいくつかの病院勤務を経験しましたが、2016年の1月に、新しく立ち上がったこの祐ホームクリニックに移ってきたんです。

― 祐ホームクリニックでは、現在、在宅医療をメインに取り組まれているのですよね。

そうです。私にとって、在宅医療は「最先端の医療」なんです。私たち医療人にできるさまざまなことを駆使して、患者さんが住み慣れた町、住み慣れたわが家で最期まで楽しく過ごしていただく。それを提供していくのが自分たちの役割だと思っています。

個人努力では限界がある。地域ぐるみの“団体戦”へ

― 墨田区では、地域ぐるみでさまざまな取り組みを行っているそうですね。どのような体制になっているのですか?

訪問診療は、我々医師と看護師、ケアマネージャー、民生委員、薬剤師会などの各連絡会と連携して行っています。墨田区の薬剤師会も、訪問診療を推進しようとがんばっていますね。在宅の医師代表として、私が薬剤師会のフォーラムに呼ばれて講演をしたこともありました。

でも、まだまだ個人でがんばっている関係者が多いのが実情です。在宅は基本的に24時間365日の営業体制になりますから、少ない人数で取り組もうとすると、どんなに熱意とモチベーションがあったとしても、いずれ自分自身が疲弊してしまう。医師もそうですし、薬局や薬剤師さんもそうです。だからこそ、私は地域でグループを作って、在宅医療を“団体戦”にしたいと思っているんです。

― 同じ組織の所属でなくとも、個人の医療関係者が協力しあう仕組みを作るのは可能なのでしょうか?

都市部でも、すでにいろいろな職業、階層の人を巻き込み、町ぐるみで仕組みづくりに取り組んでいる地域がいくつかあるんです。そうした地域の取り組みも参考にしつつ、私はこのエリアで「墨田モデル」を構築し、浸透させていきたいと考えています。

医師に対しても遠慮せず、専門性を発揮してほしい

― 今、井上先生が進めようとしている地域医療の中で、課題と感じていることはありますか?

まだまだ、いろいろなところに“壁”があるんですよね。だからそれを打ち壊していきたいんです。例えば医療と介護現場の連携や、医師と薬剤師の立場の違いなど。私自身はフラットな立場で接しているつもりでも、相手は医師に対してすごく気をつかっていることもありますから。

例えば私の場合、薬のことはどんどん薬剤師さんに聞いているんです。相手からすれば「そんなことも知らないのか」と思っているかもしれませんけど(笑) でも、薬の大きさがどのくらいでどういう形状なのか、などの細かい情報までは把握できていないこともあるんです。

医師が処方した粉薬に対して、薬剤師さんから「正しく飲んでもらうために粉薬を一包化しましょう」と提案がきたり、介護の現場の方からは「いや一包化されると袋が破れない高齢者の方がいます」と言われたり。それぞれの視点から意見をもらい、はじめて「じゃあどうしようか」と、現状に即した対応ができるようになります。

だから決して医師に遠慮せず、それぞれの専門性を活かしていろいろな判断をしてほしいですね。

― そうした対応ができるようになるために、若手薬剤師はどのような心構えで在宅医療に挑めばよいでしょうか。

教科書の知識をきちんと学ぶことも、もちろん大切です。でも医療の場合は、それだけでは成り立たないんですよね。教科書以上に、「経験学」の比重がとても大きい。同じ症状や病名でも、対処の仕方は千差万別ですから。

だからこそ、いかに現場に出て学ぶかが大事だと思います。私も未だに、現場から学ぶ気持ちをもち続けています。若いうちから経験を重ね、学びを得ていけば、いずれすばらしいスペシャリストとしての道が拓けるはずです。

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