調剤薬局で1年目から新規開局や管理薬剤師を経験し、3年目で独立へ。そのキャリア観とは!?

株式会社トニック 平野共栄薬局
薬剤師 竹谷 裕基 さん
調剤薬局から別の調剤薬局へ転職後、社会人3年目で独立し、薬局経営&薬剤師をされている竹谷さん。どのようなキャリアチェンジを経て今があるのか、現役薬学生がインタビューしました!

まずはご経歴を簡単に教えて下さい。

大学を卒業後、1年間調剤薬局で薬剤師業務をはじめ新規開局や管理薬剤師を経験した後、2年目のタイミングで別の調剤薬局に転職しました。その薬局で1年半薬剤師として働き、社会人3年目のタイミングで独立して今に至ります。

学生時代について

薬剤師になろうと思ったのはなぜですか?

高校生の時に理系で化学が得意だったのと、資格に興味があり調べてみて、薬剤師っていいなと思ったのがきっかけです。製薬会社で薬を作ったりするのが面白そうだと思って、薬学部に入りました。

しかし入学して1~2年の間に、自分の成績や、先生や先輩の話から、製薬会社の研究職に高いハードルを感じるようになってしまって。その後MRに興味を持って就活をしていたのですが、色々と考えた結果、薬局で独立を目指したいと考え、その勉強が出来そうな調剤薬局に入社しました。

独立を目指そうと思ったのはなぜですか?

大学1年生から卒業まで続けていたバーテンダーのアルバイトでの経験があったからです。当時の店長がオーナーから事業継承という形で独立されて、それを機にサービスや食事の内容など、アルバイトの自分も一緒に店舗作りを考えることになり、それがとても面白くて。開店から締めまで店の運営を一人で任せてもらったり、資金調達の事業計画や店舗の売上管理表を作ったり、色んなことを経験させてもらいました。

なにより取り組んだことが売上になり、自分の接客が利益につながった瞬間に、すごくやりがいを感じたんです。それでいつかは自分の店を持ってみたいなと思い、独立して自分の薬局を持つことを目標にしようと決めました。

どのような就活をされていましたか?

独立を目指せるように、独立支援を行っている薬局を探しました。「薬局 独立支援」というキーワードで検索して、出てくる薬局のホームページを見て、電話でインターンシップが可能かを問い合わせては参加していました。独立を目指していることを伝えると、特別にインターンシップを組んでもらえて、店舗見学だけでなく、社長の営業に同行させてもらったり、実際にその薬局から独立された薬剤師と話せるように、食事の席を設けてもらえたりもしました。

MRの就活も進めていて、1社内定をもらったのですが、最終的には独立の勉強ができる薬局を選びました。独立支援のある薬局の中で、その薬局に決めたのは、そこの社長を好きになったからです。人とのご縁を大切にされている方で、自分もすごくそれに共感して。結局は1年で退職する形となってしまいましたが、今でもたまに食事に行くなど、仲良くさせてもらっています。

自分の人生は一度きりなので、一回の選択がすごく大事だと思っています。就活では最初の一社を決めるということで、自分がどれだけ「納得感を持てるか」を意識していました。とにかく情報を調べられるだけ調べて、遠方のインターンシップであっても可能な限り参加していました。

独立を目指し修行の1年目

1社目の調剤薬局ではどのような経験を?

入社して最初の1~2ヶ月は研修で薬剤師業務の基本を、先輩についてもらってまずは調剤を勉強しました。そして6月末頃から9月中旬頃まで、名古屋の店舗を中心に約10店舗をラウンダー勤務という形で、1~2日おきに違う店舗で働きました。大変ではありましたが、いろんな患者さんや薬、処方箋に関わることができました。

その間の8月に、大阪で新規開局の話があり、勉強のためサポートとして関わらせてもらいました。店内の物の配置、薬棚が全て空の状態から始まるので、薬の配置を決めて名前を書いたり、調剤の指針や手順書を作成したりしました。そして10月に今度は長野の新規開局に準備から関わり、12月の薬局オープン後は管理薬剤師として働きました。

人手不足の店舗に入るという会社側のニーズもありましたが、入社時から社長や人事に「独立したい」という強い意思をくみとってもらえて、その勉強ができるよう手配してもらえた形です。ハードでしたが、まずは独立するために学べるものは学びたい、という強い気持ちがありました。

転職のタイミングはどのように決められたのでしょうか?

ずばり「早く独立してみたい」という想いで決めました。漠然と30歳までには独立したいと考えていたのですが、たまたま1年目が終わるタイミングで、別の薬局から大阪で独立を目指せるお話をいただいたんです。

まだ薬剤師経験が浅く、1年しか働いていない状態でしたし、転職せずとも独立を目指すこともできました。ただ、今の会社でもっと学んでから独立するよりは、お話をもらった会社でまずは独立して、色々と行動しながら考えていく方が、楽しそうだと思ったんです。

それと、信頼している先輩から「やりたいならやれ。やりたくないならやらなくていい」という一声が後押しにもなって、じゃあやってみよう!と決断しました。

ついに念願の独立へ

転職後から独立まではどのように?

2年目の4月末に転職して、独立まで1年半、薬剤師として働きました。一人でも店舗を回せるよう薬剤師業務はもちろんですが、保険請求についても勉強しました。また、独立に向けて自己資金の準備、お金を貯める期間も必要でした。融資を受けるにしても貯金はある程度しておかないと、受けられなかったりします。

独立開局にあたって特に大変だったのは、最初の書類の準備ですね。各保険や公費ごとに請求申請の仕方が違い、それぞれの場所、例えば大阪府と大阪市にそれぞれの様式で、事前に書類を提出しないといけません。困ったので先輩経営者の方に相談しながら作成しましたが、週6日薬剤師として勤務しながら進めるのがすごく大変でした。

独立してみてどうですか?変わったことなどあれば教えてください。

まだ独立してから1年半ではありますが。まずは薬働き方が変わったと思います。薬剤師として雇われていたら、時間に応じてお金が入ってくるじゃないですか。経営者になったら、そもそも自分が動かないとお金が入ってこないんですよね。

例えば、最初の半年は売上が右肩上がりに伸びてよかったものの、その後コロナでどーんと売上が下がってしまい、どうしよう!?となってしまいました。そこで利益をカバーするのに、いろんなつてを頼って在宅の数を増やしたり、後発の加算や診療報酬の点数を調べてなんとか取れるようにして、ようやくコロナ前までの売上に戻ってきています。自分が動いた分が利益となって還元されるのは、学生時代からやりがいを感じていたことでもありますが、予想以上に経営の大変さを思い知らされました。

目指す未来の構想などあれば教えて下さい。

最初の目標である独立は果たしたので、次は薬剤師という強みや特色を活かしつつ、薬剤師以外の仕事も作っていきたいと思っています。他のことに挑戦している自分を想像すると、なんだかワクワクして。経営者やそれを目指している人の力になれる仕事や、または学生の時のようにバーに関わる仕事もいいなとか。

また、就活の時に悩んだ経験から学生さんの力になれたらと思い、社会人2年目の時にキャリアコンサルタントの資格を取って活動しています。薬剤師×キャリアコンサルタントとして、キャリア教育に関わっていくのも面白そうだなと。

まだ具体的に何をやるのかははっきり決めていないのですが・・・薬局や薬剤師にとらわれずに、自分が本当にしたい事を、これからも色々と動いて、見つけていきたいですね。

<プロフィール>
竹谷 裕基(たけたに・ゆうき)
薬剤師・経営者・国家資格キャリアコンサルタント
2017年卒。学生時代から独立を目指して調剤薬局に入社。1年目で新規開局や管理薬剤師を経験の後、転職して3年目の2019年に独立を果たす。
キャリアコンサルタントとして母校の兵庫医療大学キャリア支援の会およびタレントゲートにおいて、薬学生と薬剤師のキャリア支援を行っている。