製薬MRから薬局&スタバ勤務を経て薬局経営者に。「薬局×本屋」をオープン!

有限会社フレンド ページ薬局
薬剤師 瀬迫 貴士 さん

MRから薬局へ転職、現在はユニークな「薬局×本屋」経営も手掛けられる瀬迫さん。どのようなキャリアチェンジを経て今があるのか、現役薬学生がインタビューしました!

まずはご経歴を簡単に教えて下さい。

大学を卒業後、MRとして2年間勤務した後、実家が経営する調剤薬局に転職しました。薬局で働きながら、スターバックスで1年間アルバイトもしました。その後、2020年に薬局と本屋をかけ合わせた「ページ薬局」を開局して今に至ります。

学生時代について

新卒でMRになることを選んだ理由はなんですか?

大学4年生頃、進路を考えていた時に、薬局を経営している友達のお父様と話す機会がありまして。その方がMRの出身で、「将来薬局を経営しようと考えているなら、医師とのコミュニケーションが学べるMRはお勧めだよ」と教えてくださったのがきっかけです。

最初から将来は薬局を経営したいと思っていたのでしょうか?

いえ、最初から実家の薬局を継ぐことが決まっていたとか、薬局経営をしたい!と思っていたわけではありませんでした。学生の時から、起業したいとか自分でビジネスをやってみたいという思いはありましたが、むしろ特に「これがやりたい」というのは無い状況でした。大学を選ぶ際に父から、まずは薬剤師資格をとって生活の基盤を整えてから自分の好きなことをしなさいと勧められて、とりあえずそうしようかなと。

それで薬学部に入ったのですが、大学に通い出したら、これでいいのかな?と思うことが色々あって・・・正直薬のことがすごく好きなわけではなかったし、ビジネスについて少し思い描いたりしてみても、当時は実際にそれを形にする力も時間もなくて、放置してしまったり。

そうしているうちに、就活の時期がやってきてしまって。「ビジネスをやりたい」という思いが、様々なきっかけや就活などで情報収集や思考を進めていくうちに、「薬局を経営する」という考えになっていった形です。

就活はどうでしたか?

先述の通り、勧められたMRを中心に就活し始めたものの、インターンシップに行けないことが続いたりして、もやもやしました。営業であればMRにこだわらなくてもいいのではと考えて、保険業界のインターンシップに行ったこともありました。結果、全然違う業界よりは薬学の知識を活かせるところが良いと思い、MRになるための就活を続けて製薬企業に就職しました。

新卒MRから実家の薬局へ

実際にMRとして働いて学んだことはなんですか?

やはり医師とのコミュニケーションの取り方ですね。例えば、薬局経営者として病院の先生に会いに行く時のアポイントの取り方や時間帯の判断、医師にメールを送ったり電話をかけたりすることも、MRとして医師の先生方とたくさんコンタクトを取った経験があるのとないのとでは、やはり違うなと思います。また、医師との会話で、こういう話だと喜んでもらえるとか、おさえるべき情報のポイントなど、これらはMRを経験しているからわかることなんですよね。

他にも会社の先輩から、礼儀など社会人として大切なことを教えてもらえたことも大きかったです。MRの時に学んだ仕事の基礎は、薬局経営者となった今でも活かせていて、勤めて良かったと思っています。

ご実家の薬局へ転職のタイミングはどのように決められたのでしょうか?

働き始めて1年半が経過したくらいの時に、実家の薬局が人手不足になって困っているという話を聞いたことがきっかけでした。転職するには少し早いのではとも思いつつ、困っているなら自分が入った方が良いのではと考えるようになり、ちょうど2年働いたタイミングで製薬企業を退職し、実家の薬局に転職しました。

興味や経験を糧に薬局経営へ

ご実家の調剤薬局に入った後、スターバックスでも働かれたのはなぜですか?

スターバックスで楽しそうに働くスタッフの方々にすごく興味があったからです。実習に行った時から、薬局のイメージとして閉鎖感のようなものを感じていたので、自分が薬局を経営していく上でどうすれば楽しい空間にできるか、やりがいを持って働けるかを考えていました。実家の薬局もすぐに人が辞めてしまうという話を聞いていたので、なんとかしないといけないと思っていました。

その時に頭にパッと思い浮かんだのが、スターバックスのイメージでした。スターバックスの店員さんっていつもニコニコしていて楽しそうで、なぜだろうと不思議に思っていたんです。スターバックスの採用や企業文化の秘密を知りたかったので、実際に働いてみることにしました。週4日の9~17時が薬局、週3~4日の20~24時がスターバックスという形で、1年間掛け持ちで働きました。

スターバックスでの経験で学べたことはなんですか?

企業理念やミッションを、現場スタッフへ浸透させることの重要性です。スターバックスでは、「私たちはこういうことを実現するためにスターバックスにいる」というミッションがあるんですね。そのミッションを達成するための一員として携わろう!という意識が、現場スタッフの間でしっかり表れているのを、実感することができました。

その学びは今どのように活かされていますか?

2020年に自分がやりたい!と思って開局したページ薬局のコンセプトを、スタッフにしっかり共有し続けることです。それは「普段本屋に行かない人にも 薬局に本を置くことで 偶然の出会いを提供する」というコンセプトです。毎月のミーティングで、「単に本を置くことを目的としているのではなく、本との偶然の出会いを楽しんでもらうためにうちの薬局はあるんだ」ということをいつも伝えています。

まずはスタッフである自分たちが本との出会いを楽しむ必要があると思い、空いている時間には本を読んだり、ポップを作ったり、SNSで本の紹介をしています。このSNSですが、経営者の私が関わらなくてもスタッフによって週3,4回くらい定期的に更新できていて、結構うまくいっていると思っています。

おかげさまでメディアにも取り上げてもらえて、薬局としてもそれなりの処方箋枚数を応需できるようになってきました。

*なぜ本屋をしたいのか?についてはこちら

目指す未来の構想などあれば教えて下さい。

薬剤師らしくない話になってはしまいますが(笑)書店業界の人間として、どんどん少なくなってしまっている「本屋」が地域に残るために、自分にできることは何かと常に考えています。その手段の一つとして、「薬局×本屋」という組み合わせがあるんじゃないかと思っていて

もしご縁があれば、この組み合わせを本屋が少なくなってしまった地域に展開したいと考えています。その地域の薬局という空間が、本を置くことで、地域の方々にさらに喜ばれる空間にできたらいいなと思います!

<プロフィール>
瀬迫 貴士(Takashi Sesako)
薬剤師・経営者・国家資格キャリアコンサルタント
薬局のニ代目経営者。2019年6月、「1ヶ月100冊読書」達成をきっかけに出版業界に興味を持つようになり、2020年6月に薬局×本屋の「ページ薬局」を大阪府豊中市にて開局。
また、自身が就職活動で苦労した経験をきっかけに、キャリアコンサルタントとして母校の兵庫医療大学キャリア支援の会およびタレントゲートにおいて、薬学生と薬剤師のキャリア支援を行っている。