国家試験対策コラム 第1回 (全12回) −科目横断的に知識を繋げるには?−
初めまして、滝本大輔です。
私は大学在学時代から定期テストの勉強を後輩や友達に指導していました。現在は、大手チェーン薬局で薬局薬剤師として働きながら、定期テストや国家試験の勉強を学生に指導しています。
様々なタイプの学生を教えた経験から、個人の性格に合わせて、より効率的な勉強方法を提供するなどの方法が身につきました。それらをこのコラムでは分かりやすくお伝えしていきます。

第1回目のコラムでは科目横断的に知識を繋げることについてお話していきます。
覚える量が多くて、なかなか知識を定着出来ずに困っている方はぜひ最後まで読み進めてみてください。
知識の繋げ方を考えてみよう

私が繋げる勉強として例によく挙げるのは「生物⇒病態⇒薬理⇒薬物治療」の流れです。
人にはインプットやアウトプットによって利き脳というものがあるとされており(参考:論理と感覚、利き脳の違い)、今回の私のコラムは論理的に受け取るみなさんに響きやすいかもしれません。
詳細な勉強方法はまた別のコラムで説明しますが、これらを踏まえた上で上記の例を解説していきます。

みなさんが身近に感じる症状として、胃腸の不調などの消化器症状があります。それについて考えてみましょう。

生物⇒病態⇒薬理⇒薬物治療
生物

人の消化器系は大まかに分けると「口腔⇒食道⇒胃⇒小腸(十二指腸)⇒大腸⇒肛門」と連続していきます。
口腔では消化液の一つである唾液に含まれるアミラーゼが出され、食道では食物の胃への運搬、胃では消化液の一つである胃酸(HCl)・ペプシンが機能し、小腸では膵臓や胆嚢から消化の補助と微絨毛により栄養物質の吸収が行われます。

病態

①で記載した生理機能のうち、どこかで異常をきたすことで疾患へ繋がっていきます。
例えば、胃酸(HCl)が逆流することで食道が荒れたり胸焼けの症状が起こります。これは逆流性食道炎という疾患です。
胃や十二指腸においては、胃酸(HCl)などの攻撃因子とプロスタグランジンなどの防御因子のバランスが崩壊することで症状が起こりやすくなります。攻撃因子>防御因子↓↓となれば胃潰瘍、攻撃因子↑↑>防御因子となれば十二指腸潰瘍と考えられています。

薬理

ここまでの「生物⇒病態」の流れから、どこに関与すればその症状を緩和させることができるのだろうかと考えましょう。
逆流性食道炎であれば、根本的な原因として胃酸が逆流してしまうことにあるため何を用いますか?

プロトンポンプインヒビター(PPI)が正解です。これは壁細胞に存在する胃酸分泌の最終段階であるプロトンポンプインヒビターのチオール基(-SH)に作用することで効果を発揮します(詳細は化学の有機的な視点としてスルホンアミド構造であることや、共有結合のため1日1回用法など実務の視点からも把握できます)。

胃潰瘍は防御因子の低下でしたよね(かつ攻撃因子の増強もある)。そうすると、胃粘膜保護薬「PG製剤(ミソプロストール)、胃粘膜増強薬(レバミピド、テプレノンなど)」などが挙げられます。
十二指腸潰瘍は攻撃因子の増強(かつ防御因子の低下もある)が原因だったので、PPIが効果的な作用を発揮します。

薬物治療

これまでの流れで、生物⇒病態⇒薬理と学んできました。
ここまで来たらあとは、医薬品の持つ作用とどの器官の異常な部位にどのように標的として当てていくかを考慮するだけです。
基本的には、逆流性食道炎にはPPIが用いられ、胃潰瘍にはPPI、H2ブロッカー、胃粘膜保護薬が用いられ、十二指腸潰瘍においても同様です。

単純な暗記ではなく流れの中での理解が大切

いかがでしたでしょうか?
ここまでを単純に暗記する必要はありません。覚えるのではなく「これはこうである(理由)から、こうなる」という流れの中での理解が大切です。

体の本来の働きである生体内の組織の機能形態と生理学の理解が重要となります。そして薬理の作用機序さえ理解し、構造や薬物名から連想する練習さえ積めれば、あとは説明した流れ通りに生物から病態、薬理、薬物治療と繋げて考えることができます。

試験問題を見てみよう

では、ここで実際の試験問題を見てみましょう。

103回薬剤師国家試験
理論問題問158
この問題では胃潰瘍だけではありませんが、2番のスクラルファートの含有金属がアルミニウムということが把握出来ていれば、胃粘膜の蛋白質と結合することで収斂作用を示し、保護に働くことへ理解が繋がります。
3番のボノプラザンは最近の薬で、PPIの様な作用でありながら従来の作用機序ではないことを把握しておけば、Kイオン競合阻害薬であることを知らなくても他のPPIと異なる、という理解だけで誤と解答可能です。
モサプリドは5-HT4刺激作用がこれ一つだけであり、メトクロプラミドはドンペリドンと共にD2受容体遮断作用を示します。この「共に」というのは別の勉強方法で詳細をお伝えしますが【チャンク化(グループ化)】という方法です。

余談ですが・・・
物理には繋げられないの?という質問があったとすると、
アルミニウムなど金属含有医薬品の定量⇒アルミニウムはAl3+となって三価の金属イオン⇒二価以上の金属のため、EDTA(キレート滴定)の適応といった流れで考えることももちろんできます。


このように知識を繋げるには練習が必要になりますが、ひとたびそれが繋がれば強力な知識の保険となることは間違いありません。
科目をそれぞれ必死に覚えるのではなく、今回のコラムを参考にして科目横断的に知識を繋げてみてください。

<執筆者プロフィール>
滝本大輔(Daisuke Takimoto)
薬剤師歴4年/国家試験・定期テスト指導歴9年
大手チェーン薬局に現役薬剤師として勤務しながら、個人の性格や理解に合わせた超オーダーメイドの学習指導を行っている。現在は心理学を応用した指導方法に注力しており、学習だけではない細やかな気配りや人柄も人気である。

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