国家試験対策コラム 第2回 (全12回) −科目横断的に繋げるには?高血圧編−
前回は胃腸障害を例に挙げて「科目横断的に繋げる勉強方法」を解説しました。

大きな流れから詳細を捉えていくことで、自然と問題を解く思考回路の感覚が得られたのではないでしょうか?実際、私が1年生の頃から指導している後輩はストレートで6年生に上がり、今ではかなり上位の成績を維持しています。暗記が苦手な人でも、容易にかつ効率的に取り入れることができる方法です。

今回は、多くの人がつまずく循環器疾患の導入として高血圧について科目横断的に繋げて考えてみましょう。

前回と同じように「生物⇒病態⇒薬理⇒薬物治療」と考えていきます。
生物:心臓や血管の生理機能について
病態:高血圧に繋がる要因について
薬理:生物と病態を理解した上での薬物の作用機序について
薬物治療:現在の高血圧治療について
実践:実際の国家試験問題を見てみる
生物⇒病態⇒薬理⇒薬物治療
生物

まず、前提となる全体像を把握しましょう。細かい部位の名称などは省略し、大まかな考え方をお伝えしていきます。

血圧の定義は「心拍出量(循環血液量、心拍数、心筋収縮力など)」×「末梢血管抵抗(動脈圧の弾性、血液の粘性など)」です。

心臓の機能としては、ポンプ作用であり、血液を循環させ全身循環を維持しています。そして、血液を全身に届けている道は血管です。

心臓についても、血管についても同様ではありますが、【自律神経の関係性】を考慮しないわけにはいきません。通常、拮抗的二重支配により交感神経と副交感神経がバランスをとっています。今回は高血圧について考えるため、興奮的・アクセルとしての役割を果たす交感神経について考えます。交感神経における神経伝達物質はノルアドレナリンで、α受容体とβ受容体への刺激作用があります。

次に、血管の要素について考えていきましょう。末梢血管抵抗では血液量や血管の収縮なども関与しています。

血液量(体液量)の調節は、RAA(レニンアンギオテンシンアルドステロン)系が担っています。
元々血液量の調節などを担う根本的な臓器は腎臓です。そのため、RAA系の出発は、腎臓にある傍糸球体細胞から分泌されるレニンです。レニンにより、アンギオテンシノーゲン⇒アンギオテンシンⅠが生成され、アンギオテンシン変換酵素(ACE)により、アンギオテンシンⅠ⇒アンギオテンシンⅡが生成され、最終的にアンギオテンシンⅡから血管収縮やアルドステロン分泌へと繋がり、腎臓の集合管において、ナトリウムと水分の再吸収が行われます。

また、血管の収縮はいわゆる血管平滑筋の収縮です。詳細は割愛しますが、カルシウムイオンが関与しています。

病態

「生物」の項目では心臓と血管それぞれに焦点を当てて、機能や本来の動き、考え方をお伝えしました。
「病態」の項目では、高血圧に繋がる要因について考えていきましょう。高血圧は何らかの原因によって血圧が高くなってしまう状態です。分類としては、ほとんどが原因不明の本態性高血圧と、概ねはっきりしている二次性高血圧に分けられます。

先述した心臓の機能や血管の機能という部分が、薬物の作用点となります。特に血管壁の異常や電解質の異常により、RAA系が亢進されれば、アルドステロン分泌⇒集合管にて水分の再吸収へ繋がり、血圧が上昇します。

薬理

ここでは「生物」「病態」から薬理について考えてみましょう。「生物」で記載した内容から、交感神経系にて刺激されるのはα受容体とβ受容体です。薬物名と作用機序の組み合わせはクイズ化やチャンク(グループ)化により、把握していくことが必須です。(チャンク化については次回のコラムで解説します)

チャンク(グループ)化の例としては…
心拍出量への作用を考えると
β遮断薬⇒~ロール(カルベジロール・アテノロール・プロプラノロールなど)⇒β1遮断(心機能抑制)⇒心拍出量の低下⇒血圧の低下
つまりβ受容体で考慮すると、心臓に対しての作用を考えることに繋がります。

血液量については、RAA系の亢進により、アンギオテンシンⅡの血管収縮作用とアルドステロンのNa再吸収(水分も併せ)作用が血圧上昇に関与することから、作用点としてはRAA系の過程のいずれかを抑制することになります。
現在臨床で用いられているのは・・・
・レニンを阻害する方法(アリスキレン)
・アンギオテンシンⅠ⇒アンギオテンシンⅡへの生成過程を阻害する方法( ACE阻害薬:~プリル)
・アンギオテンシンⅡが受容体へ結合することを阻害する方法( ARB:~サルタン)
が主な方法として挙げられます。

血液量を直接減らす、という意味では利尿薬は効率的な薬物治療ですね。
・ループ利尿薬
・チアジド系利尿薬
・浸透圧性利尿薬
・抗アルドステロン系利尿薬など

血管の収縮という観点では、血管に直接的な要素です。血管が収縮してしまうことにより、血圧の上昇に繋がります。つまり、血管を拡張させることも高血圧治療の効果が期待できます。
そのために用いられるのは代表的なものとして、ジヒドロピリジン(DHP)系カルシウム拮抗薬(~ジピン)が挙げられます。

薬物治療

現在の高血圧に対する薬物治療では…
・カルシウム拮抗薬
・ARB
・ACEI
・利尿薬
・β遮断薬
・(α遮断)
が薬物として臨床で用いられています。
使用方法としては、1つの薬剤で少量から開始し、状況に応じて剤形、薬剤数、用法用量を調節していきます。多剤併用するケースも頻繁に見られます。
心血管障害や脳血管疾患、心不全、腎不全、狭心症など基礎疾患を併発している方に積極的に適応のある薬剤などもあり、熟慮が必要です。

試験問題を見てみよう

実際の国家試験を見ると…

問158
1.「プロプラノロールはβ遮断薬」だから誤、と回答するのは早とちりです。理論問題では直接的な選択肢ではなく、さらに細かい受容体からの生理活性作用を聞いてくることがあります。β1受容体は、腎傍糸球体細胞におけるレニン分泌にも関与していることを把握しておく必要があります。
4.と5.は、関連している記載事項ですが、文章的な意味をしっかり読解する必要があります。アンギオテンシンⅡの【産生】を抑制するのか、エプレレノンがアルドステロンの【分泌】を抑制するのか、などです。

問246-247
実践問題からの出題になります。
(処方1)を確認すると
・オルメサルタン(~サルタン:ARB)
となっており、高血圧治療中と推測されます。

問246
設問より、前立腺肥大治療薬と降圧薬との関連性を考慮する必要があります。
血圧には「生物」の項目で学んだように、血管の要素から血管の収縮が関与していることが分かります。血管平滑筋に分布しているα1受容体はGq蛋白と共役しておりCaイオンを通じて血管が収縮されます。従って、α1遮断作用に伴い血管が拡張されます。

ここで前立腺肥大治療薬のうち、血圧との関連性が強い薬剤を推測します。

前立腺肥大治療薬の作用点として考えられるのは、α1遮断薬が挙げられます。
α1受容体はサブタイプとしてα1A,Dは前立腺に分布しており、α1Bは血管平滑筋に分布しています。つまりα1遮断薬の副作用として、血管平滑筋弛緩作用による起立性低血圧があります。ここで選択肢を見ていくと、α1受容体に関与する薬剤は1.ナフトピジルが適当と考えられます。

問247
設問の立ちくらみの原因、これは相乗効果で降圧作用が強く現われた可能性があります。今回で処方薬からは(処方薬1,2)よりオルメサルタンとの相乗効果と考えられます。先述の生物、薬理、薬物治療の各分野よりオルメサルタンのARBによる降圧作用と、ナフトピジルのα1遮断作用による副作用(起立性低血圧)が現われたことによる立ちくらみの可能性が高いです。
そのため、選択肢より、1.アドレナリンα1受容体と2.アンギオテンシンⅡAT1受容体が関与していると考えられます。


一見、循環器分野と泌尿器分野で関連性は薄いように感じますが、薬理作用として類似している点や、生理学的な観点では関連していることがあります。生物の生理学的な基礎から、薬理・薬物治療への応用へ繋げていくことの重要性が分かる設問になっています。

前回と今回のコラムで「科目横断的に繋げる」勉強方法について解説しました。次回は「チャンク化」勉強法をご紹介します。

<執筆者プロフィール>
滝本大輔(Daisuke Takimoto)
薬剤師歴4年/国家試験・定期テスト指導歴9年
大手チェーン薬局に現役薬剤師として勤務しながら、個人の性格や理解に合わせた超オーダーメイドの学習指導を行っている。現在は心理学を応用した指導方法に注力しており、学習だけではない細やかな気配りや人柄も人気である。

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