内分泌系は、非常に複雑なイメージをお持ちかもしれません。それはホルモン分泌にはたくさんの物質が関与しているためです。しかし基本的な分泌機構は同じです。
上記の参考ページを見ると・・・
上位中枢(視床下部)
↓(下垂体)
下位中枢(各臓器)
各臓器から相応するホルモンの分泌が行われます。
この大きな流れを確実に押さえておきましょう。それが内分泌系を理解するための第一歩となります。
ここで、内分泌系における、病態と薬理を考えます。
基本的には、先ほどの上位中枢⇒下位中枢⇒ホルモン分泌という流れがあるので、病態としては過剰症や欠乏症が考えられます。
例えば【バセドウ病】について見てみましょう。
これは、甲状腺機能亢進症です。つまり甲状腺から分泌されるT3,T4が過剰に分泌される状態です。
また勉強の過程でよく出てくる【クッシング症候群】があります。これは副腎皮質ホルモンの過剰症です。過剰症の治療薬としては、ホルモンの合成を阻害する薬物が用いられます。また、【アジソン病】や【橋本病】などの欠乏症においては、ホルモンの補充が必要になります。
このような形でまずは、生体の機能を理解した上で「どこを作用点にどういうお薬を用いれば良いか」という流れで把握していきましょう。
ここでは、セロトニンやヒスタミンなどの生合成や代謝について学ぶことになります。
生合成に当たり、原料となるアミノ酸が存在しています。セロトニンはトリプトファンが、ヒスタミンはヒスチジンが前駆物質として用いられます。
セロトニンの生理作用として、セロトニン(5-HT)受容体を介して作用しますが、サブタイプが1~4まで存在しています。
受容体があるため薬物によって刺激・遮断作用があれば、薬理作用を発揮させることができます。
5-HT1:脳血管収縮作用⇒~トリプタンによる遮断作用
5-HT2:平滑筋収縮作用⇒サルポグレラートにより抗血栓作用
5-HT3:催吐作用⇒~セトロンにより、制吐作用
5-HT4:ACh遊離促進作用⇒モサプリドで胃腸運動の促進作用
ヒスタミンも受容体を介した作用となり、サブタイプが1〜2まで存在しています。
H1:血管透過性亢進作用、かゆみ、くしゃみ⇒抗ヒスタミン薬としてアレルギー性疾患
H2:胃酸分泌促進作用⇒H2ブロッカーによって、胃潰瘍
通常の生体内での物質の働きを整理するだけでも、病態や薬理へと繋げることが容易になります。
サイトカインは、構造としてはタンパク質です。多くは生体防御や細胞増殖に関与します。まず免疫調節というところで押さえると分かりやすいです。
1型ヘルパーT細胞からのサイトカイン⇒細胞性免疫
2型ヘルパーT細胞からのサイトカイン⇒体液性免疫
をそれぞれ誘導します。
免疫としてはこのサイトカインの理解をすることで、インターロイキンや細胞増殖因子を作用点とした薬物の理解へ繋がります。
今回は非常に大まかな流れを紹介したに過ぎませんが、一つ一つ世界観を整理していくことで、他の分野にも繋がっていきます。いきなり詳細な部分を理解しようとすると、どこをどう繋げたら良いかが分からなくなります。
一方で一度大枠を掴んでしまえば、少しずつ細かく学んでいくことで、欠片だった知識が繋がりやすくなります。
苦手な分野も、結局は言葉の定義や流れがあります。しっかり意味を押さえていきましょう。
<執筆者プロフィール>
滝本大輔(Daisuke Takimoto)
薬剤師歴4年/国家試験・定期テスト指導歴9年
大手チェーン薬局に現役薬剤師として勤務しながら、個人の性格や理解に合わせた超オーダーメイドの学習指導を行っている。現在は心理学を応用した指導方法に注力しており、学習だけではない細やかな気配りや人柄も人気である。