4年生から就活を開始したSさん。それには理由があります。
彼女は「薬剤師になりたいから薬学部に進学をした」というタイプの学生ではありませんでした。そのため、考えられる職種を洗い出し、インターンがあれば参加、その可能性について体当たりで調べていくという方法をとりました。
4年生のうちにドラッグストアやCRO業界のインターン・公務員系のセミナーに参加、タレントゲートのイベントに参加を始めたのもこの頃でした。
5年生になり、製薬メーカーのインターンに参加し始めます。職種はMR職・開発職の両方に挑戦しました。選考を重ねる中で学外の就活友達が増えると共に、さまざまな方法でOBOGとの接触も増やしていきました。
Sさんとの初めての面談の際に、聞いた言葉です。これはなかなか衝撃的でした。これまでの様々な選択を「自分軸」を大事にして行ってきたから、改めて自己分析は必要ない、ということでした。
中高ではバリバリの体育会系、厳しい上下関係の中で過ごしてきたSさんは、大学生活は自分の意思で生きることを何よりも大切にしてきました。
部活動も未経験で演劇に挑戦。研究室でもとことん研究に打ち込み、卒論テーマ以外に3つの研究を同時に進めてきました。学外の研究機関との共同研究においても、当初予定していた期間を越えて研究に励みました。就活を進める中で、将来を見通し5年生の冬頃から独学でプログラミングも学びました。趣味にもとことん、美味しいチョコレートの情報なら、薬学生で彼女の右に出る者はいないかもしれません(笑)
このように自己追求型のSさんは、就職活動においてもその力を発揮します。
気になる企業があればどんな職種の説明会でも顔を出します。会社への興味を積極的に示すことで、希望する職種のインターンに呼んでもらえたというエピソードも聞かせてくれました。
就活の中で、他大学の学生たちから、自分に足りないものや逆に「強み」となることを見つけていきます。学会や研究会のような、一見就活に関係がないような場にも足を運び、専門分野においても人との繋がりを拡げていきます。そうした出会いが、彼女の就活を支える1つの柱となっていきます。
この追求型の行動力はどのような職種でも求められる能力の1つです。それを突き詰めた結果、複数職種で内定を獲ることになりました。悩みに悩み、最終的には研究分野を深めていくことのできる職種を選択しました。大手外資系製薬メーカー辞退は周囲を驚かせる決断でした。
就活を振り返り、Sさんは「患者様のためにという思いが欠落していた」という言葉を漏らしていました。実はこの言葉、初めて個別面談をした際にも言っていた言葉でした。しかしSさんは自分が追及している研究内容を今後どのように活かせるのか、その可能性を熱く語ることができました。直接的な言葉で「患者様のため」と言わなくても、彼女の頑張りが社会のためになる可能性をしっかりと届けることができていたからこそ、内定という結果に繋がったのではないでしょうか。
(2020年10月)