はい、在宅は今年から 本格的にはじめました。現在は拠点が2か所あり、本店は調剤とOTC、化粧品などを中心にやっています。在宅サービスを行なっているのはもう一つの拠点で、4人の薬剤師が担当しています。私自身も、日々個人宅にうかがっていますね。平均すると1日に2〜3件くらいでしょうか。
そうですね。
足りていないと思いますね。本当は1校につき1人いるのが望ましいはず。でも実際は掛け持ちの人が多いです。私自身も3校、担当しています。
それは、その地域の支部によって違います。このエリアの支部では、一度担当すると変更になることはあまりないですね。支部によってはローテーションするところもあると聞いています。ただし平日の昼間、自分の仕事の合間をぬって学校に行かなければならないので、それなりに近い場所じゃないと難しいんです。
メインの業務は、いろいろな種類の「環境衛生検査」です。例えば換気や教室の明るさ、飲料水、それからプール検査。特にプールは塩素濃度が下がるとさまざまな菌が繁殖しやすく、大腸菌が発生したり、結膜炎が流行したりと大変なんです。そうした事態が起こらないよう、監視・指導しています。
ただし、検査をやるだけなら検査会社に任せてしまえばいい。学校薬剤師の大切な役割は、検査結果をもとに「どう改善すればいいか」をアドバイスすることなんです。
違いますね。薬剤師になるための勉強の中には、そうした項目まで入っていませんから。
昭和初期の頃、ある学校で、保健室にあった消毒薬を誤って児童に飲ませてしまった事故があったそうです。不幸にも、そのお子さんは亡くなってしまいました。それを機に、学校にも薬剤を管理するプロを配置しようという動きが出てきたと聞いています。
確かにそうかもしれません。私たちも、学校薬剤師として仕事をしながらいろいろと勉強をしています。
例えば、教室の中で窓側の席は1万ルクスを超えるときもありますが、廊下側は300ルクス程度。そうするとその差は30倍。子どもたちが「まぶしさ」を感じる原因になります。明るすぎるところで、白い紙やノートを使って勉強していると、光が反射して目にもよくありません。そういう場合はカーテンをつけた状態で明るさを測り、問題がないかどうか検討しています。
冬場は、換気の検査もあります。この地域の学校ではまだストーブを使っているところが多く、閉め切ったまま授業をしていると二酸化炭素が増えたり、不完全燃焼を起こして一酸化炭素が出たりすることもあるので。
私が一番大切だと思っているのは、「薬物乱用防止教室」です。タバコの害や、薬物、いわゆる危険ドラッグなどについての講習ですね。小学校3年生からはじまります。
今は市の薬剤師会の中の一部門として、学校薬剤師部会があります。そこで協議されたことをもとに、私たちが学校薬剤師として活動しています。地域によって取り組み方はいろいろ違うでしょうね。
報酬は一律、大体年間で15万円程度と国で決められています。
私が担当している学校の場合は、年間で8〜10回程度です。ただ、薬物乱用防止教室などの講習はほとんどボランティアですね。
何校も掛け持ちすれば暮らせるかもしれませんが、実際は難しいでしょうね。
現在、私は地元の小学校で、「薬物乱用防止教室」やタバコ・アルコールの危険性をわかりやすく伝える「ノースモッ子教室」などを開いています。子どもたちは一生懸命私たちの話を聞いてくれて、後日「こういう風に思いました」と感想文を送ってくれるんです。私が話したことが、少しでも子どもたちの心に残り、将来役立ってくれればいい。そう考えて、学校薬剤師の仕事を続けています。
校医などに比べれば児童の記憶に残るようなことは少ないかもしれません。でも将来を担う子どもたちのために、薬剤師として何ができるか。それに尽きます。適切な環境を整えたり、薬物の怖さを教えたりするには、やはり薬のプロである薬剤師が必要ですから。